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ホテル・旅館で外国人を雇用する場合の「技術・人文知識・国際業務」令和8年4月改訂のガイドラインと許可・不許可事例を解説
訪日外国人旅行者の増加に伴い、ホテルや旅館では、外国語を使って宿泊客に対応できる外国人材の採用が進んでいます。
一方で、ホテルや旅館の仕事には、フロント、予約管理、企画、通訳、配膳、清掃、荷物運搬など、さまざまな業務があります。
そのため、
- フロント業務なら「技術・人文知識・国際業務」で働けるのか
- 接客業務をどこまで担当できるのか
- 入社後にレストランや客室清掃の研修を受けてもよいのか
- 外国語を使う仕事であれば許可されるのか
といったご相談が多くあります。
出入国在留管理庁は、令和8年4月に改訂したガイドラインにおいて、ホテル・旅館等で外国人が就労する場合の考え方と、具体的な許可・不許可事例を示しています。
ホテルや旅館で働く場合に考えられる在留資格
大学や専門学校を卒業した外国人が、ホテルや旅館で専門的な仕事に従事する場合、一般的には「技術・人文知識・国際業務」の在留資格への該当性が審査されます。
この在留資格で認められるのは、主に次のような業務です。
- 外国語を使用したフロント業務
- 外国人宿泊客への案内や要望対応
- 通訳・翻訳業務
- 海外の旅行会社との交渉
- 外国人観光客向けの広報・宣伝
- マーケティングリサーチ
- 宿泊プランの企画・立案
- 外国語版ホームページや案内表示の作成
- ホテルやレストランの企画・マネジメント
ただし、ホテルや旅館で働くというだけで「技術・人文知識・国際業務」が認められるわけではありません。
実際に担当する仕事が、専門的な知識や外国文化に基づく能力を必要とする業務であることが必要です。
フロント業務なら必ず許可されるわけではありません
「フロント業務」という名称だけで、在留資格への該当性が判断されるわけではありません。
例えば、フロントで次のような仕事を行う場合は、専門性が認められる可能性があります。
- 外国語による予約受付
- 外国人宿泊客への館内案内
- 外国人宿泊客からの要望や苦情への対応
- 通訳や翻訳
- 海外向け宿泊プランの案内
- 外国語による観光情報の提供
一方で、実際の主な仕事が次のような内容である場合は、「技術・人文知識・国際業務」に該当しない可能性があります。
- 客室清掃
- ベッドメイキング
- 宿泊客の荷物運搬
- 駐車場での車両誘導
- レストランでの配膳や片付け
- その他、特別な技術や知識を必要としない作業
重要なのは、職種名ではなく、実際の職務内容です。
一時的に荷物を運ぶことまで禁止されるわけではありません
フロント業務を担当している外国人が、団体客のチェックイン時に、一時的に宿泊客の荷物を客室まで運ぶことも考えられます。
このような一時的・付随的な対応を行っただけで、直ちに入管法上の問題になるわけではありません。
ただし、実際には荷物運搬や清掃、配膳などが日常業務の中心になっている場合には、「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動を行っていないと判断される可能性があります。
更新申請の際に、専門業務へ従事していないことが判明すれば、更新が認められないこともあります。
学歴や実務経験の要件
ホテルや旅館で専門的業務に従事する場合、原則として、次のいずれかを満たす必要があります。
1.関連する科目を専攻して大学を卒業している
観光学、経営学、経済学、商学、語学など、担当業務に関係する科目を大学で学んでいる場合です。
大学卒業者については、大学が幅広い教育を行う機関であることから、専攻科目と仕事内容との関連性は比較的柔軟に判断されます。
2.日本の専門学校で関連する専門課程を修了している
専門学校卒業者の場合は、「専門士」または「高度専門士」の称号が付与されていることが必要です。
また、大学卒業者と比較すると、専門学校で学んだ内容と担当業務との関連性がより厳しく確認されます。
ホテルサービスやビジネス実務を専攻した方が、ホテルのフロント業務や宿泊プランの企画を担当する場合は、関連性が認められる可能性があります。
一方、服飾デザインを専攻した方が、ホテルの一般的な受付業務を担当する場合などは、関連性が認められないことがあります。
3.関連業務について10年以上の実務経験がある
学歴要件を満たさない場合でも、関連する業務について10年以上の実務経験があれば、要件を満たす可能性があります。
学校で関連科目を専攻した期間も、この実務経験の期間に含められる場合があります。
通訳・翻訳などの国際業務を行う場合
外国語を使った通訳、翻訳、広報、海外取引などの仕事に従事する場合は、外国文化に基づく専門的な能力が必要です。
原則として、関連業務について3年以上の実務経験が求められます。
ただし、大学を卒業した方が、翻訳、通訳または語学指導の業務に従事する場合は、3年以上の実務経験は不要です。
また、言語能力を用いた対人業務に従事する場合には、使用する言語について、原則としてCEFR・B2相当の能力を有していることが求められます。
単に外国人であることや、日常会話ができることだけでは、専門的な言語業務に従事できるとは限りません。
日本人と同等以上の給与が必要です
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、日本人が同じ仕事に従事する場合と同等額以上の報酬を受けることが必要です。
外国人であることを理由に、日本人従業員より低い給与を設定することは認められません。
給与額だけでなく、担当する仕事、職責、経験、社内の賃金体系などを踏まえて判断されます。
ホテル・旅館における許可事例
出入国在留管理庁が示した事例を、分かりやすくご紹介します。
許可事例1 観光学を専攻し、外国語でフロント業務を担当
海外の大学で観光学を専攻して卒業した外国人が、外国人観光客の多いホテルで、月額約22万円の給与を受け、外国語を使ったフロント業務や館内案内を担当する事例です。
専攻内容と仕事内容に関連性があり、外国語能力を使った専門的業務であることから、許可事例とされています。
許可事例2 海外旅行会社との交渉や通訳・翻訳
海外の大学を卒業した外国人が、母国からの旅行者が多い旅館で、月額約20万円の給与を受け、海外の旅行会社との交渉、通訳・翻訳、従業員への外国語指導を担当する事例です。
外国語や外国文化に基づく能力を活用する業務として許可されています。
許可事例3 マーケティングや外国人向け広報を担当
日本の大学で経済学を専攻した外国人が、空港近くのホテルで、月額約25万円の給与を受け、外国人観光客に関するマーケティングリサーチや、外国語版ホームページなどの宣伝媒体の作成を行う事例です。
専門的な知識を活用した企画・広報業務として許可されています。
許可事例4 総合職として採用され、接客研修後に専門業務へ移行
日本の大学で経営学を専攻した外国人が、ホテルの総合職・幹部候補として採用された事例です。
入社後、2か月間の座学研修と、4か月間のフロント・レストランでの接客研修を受けた後、外国語を使ったフロント対応、外国人宿泊客への対応、宿泊プランの企画などを担当します。
採用当初の接客研修であっても、研修後に専門業務へ移行する具体的な計画があり、研修期間にも合理性がある場合は、許可される可能性があります。
許可事例5 専門学校で翻訳・通訳を学び、旅館で多言語対応
日本の専門学校で日本語の翻訳・通訳コースを修了し、専門士の称号を取得した外国人が、外国人観光客の多い旅館で、外国語による案内、外国語版ホームページの作成、館内表示の翻訳などを担当する事例です。
専門学校で学んだ内容と仕事との関連性が認められています。
許可事例6 ホテルサービスを学び、フロントや企画を担当
日本の専門学校でホテルサービスやビジネス実務を学び、専門士を取得した外国人が、外国人宿泊客の多いホテルで、専門知識を活かしたフロント業務や宿泊プランの企画を担当する事例です。
許可事例7 海外での長年のマネジメント経験を活かす
海外のホテルやレストランで10年間マネジメント業務に従事した外国人が、日本のホテルで月額60万円の給与を受け、レストランのコンセプト設計や宣伝・広報を担当する事例です。
長期間の実務経験と、担当する専門業務との関連性が認められています。
ホテル・旅館における不許可事例
不許可事例1 主な仕事が荷物運搬と客室清掃
海外の大学で経済学を専攻した外国人がホテルに採用されるとして申請したものの、実際の主な仕事が、宿泊客の荷物運搬と客室清掃であることが判明した事例です。
これらの業務は「技術・人文知識・国際業務」に該当する専門業務とは認められず、不許可となっています。
不許可事例2 必要な言語を使えることが証明できない
海外の大学で日本語学を専攻した外国人が、旅館で外国人宿泊客の通訳を行うとして申請した事例です。
しかし、その旅館を利用する外国人の多くが使用する言語は、申請人の母国語とは異なっていました。
さらに、宿泊客が使用する言語について、CEFR・B2相当の能力を有することを証明できず、本人の母国語を使用する仕事も十分にないと判断され、不許可となっています。
外国語を使うという説明だけでなく、どの言語を、誰に対して、どの程度使用する仕事があるのかを説明する必要があります。
不許可事例3 駐車誘導と配膳・片付けが中心
日本の大学で商学を専攻した外国人が、新しく設立されたホテルに採用されるとして申請したものの、実際の仕事が駐車場での誘導や、レストランでの料理の配膳・片付けであった事例です。
専門的な知識を必要とする業務とは認められず、不許可となっています。
不許可事例4 日本人より給与が低い
日本の大学で法学を専攻した外国人が、旅館で外国語を使った予約対応や館内案内を行い、月額約15万円の給与を受けるとして申請した事例です。
しかし、同時期に採用され、同じ仕事を行う日本人従業員の給与が月額約20万円であることが判明しました。
給与の差について合理的な理由が認められず、日本人と同等額以上の報酬とは認められなかったため、不許可となっています。
不許可事例5 専門学校の専攻と仕事が関連していない
日本の専門学校で服飾デザインを学び、専門士を取得した外国人が、旅館のフロント受付業務を担当するとして申請した事例です。
専門学校で学んだ服飾デザインと、ホテルの受付業務との間に関連性が認められず、不許可となっています。
専門学校卒業者の場合は、専攻科目と仕事内容との関連性が特に重要です。
不許可事例6 2年間の研修が配膳と客室清掃のみ
日本の専門学校でホテルサービスやビジネス実務を学んだ外国人が、ホテルのフロント業務を行うとして申請した事例です。
しかし、採用後最初の2年間は、実務研修として、専らレストランでの配膳や客室清掃に従事する計画であることが判明しました。
専門業務に該当しない仕事が、予定される在留活動の大半を占めるため、不許可となっています。
「研修」という名称を付ければ認められるわけではありません。
ホテル・旅館が外国人を採用する前に確認したいこと
外国人を「技術・人文知識・国際業務」で採用する場合は、少なくとも次の点を確認する必要があります。
- 実際の主な仕事内容は何か
- 外国語を使う相手や場面が具体的にあるか
- 外国語を使用する業務量が十分にあるか
- 学歴や専攻内容と仕事内容に関連性があるか
- 必要な語学力を客観的に証明できるか
- 配膳、清掃、荷物運搬などが主な仕事になっていないか
- 研修後に専門業務へ移行する計画が明確か
- 日本人と同等以上の給与が設定されているか
求人票や雇用契約書に「フロント業務」「通訳業務」と記載するだけでは十分ではありません。
誰に対して、どの言語を使い、どのような専門業務を、どの程度の割合で担当するのかを具体的に整理することが大切です。
まとめ
ホテルや旅館で外国人を雇用する場合、「フロントだから技人国で働ける」「外国語を話せるから通訳として申請できる」と単純に判断することはできません。
審査では、次の点が総合的に確認されます。
- 仕事内容に専門性があるか
- 学歴や実務経験との関連性があるか
- 必要な言語能力を有しているか
- 外国語を使用する実際の業務量があるか
- 単純作業が主な仕事になっていないか
- 日本人と同等以上の給与であるか
- 研修期間やキャリアステップに合理性があるか
採用後に在留資格との不一致が判明すると、在留資格の取得だけでなく、その後の更新にも影響する可能性があります。
外国人を採用する前に、実際の仕事内容と在留資格との適合性を確認しておくことが重要です。
当事務所では、ホテル・旅館等における外国人採用について、仕事内容、学歴、語学力、研修計画などを確認し、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に適合するかを事前に検討しています。
外国人の採用を予定されているホテル・旅館事業者様や、宿泊業への就職を希望される外国人の方は、お気軽にご相談ください。

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