第1回 外国人社員が辞めるのは「日本語力」の問題だけではない―企業が知っておきたい定着のポイント

外国人社員を採用した企業から、

「せっかく採用したのに、数年で辞めてしまった」
「日本語が上手な人を採用したのに、うまくいかなかった」

という話を聞くことがあります。

外国人社員が職場に定着しないとき、「日本語力」や「文化の違い」が原因だと考えてしまいがちです。

しかし、本当にそれだけでしょうか。

厚生労働省委託事業として作成された「高度外国人材活用のための実践マニュアル」では、外国人材の定着について、採用や配置、日々のコミュニケーション、評価、キャリア形成など、企業側の受入れ環境も含めて考える必要があることが示されています。

入社前と入社後の「ギャップ」

外国人社員が働く意欲を失ったり、離職したりする原因の一つとして考えられるのが、入社前に思い描いていた仕事と、実際の仕事とのギャップです。

例えば、

「専門知識を活かせると思っていた」
「海外事業に関われると思っていた」
「成果を出せば早く昇進できると思っていた」

ところが入社すると、希望していた部署とは違うところに配属されたり、評価の基準がよく分からなかったりすることがあります。

資料でも、企業側と外国人材との間には、配置、評価、キャリア形成、労働環境などについて認識の違いが生じる場合があるとされています。

「説明すること」が定着につながる

すべての希望を企業がかなえることはできません。

大切なのは、希望どおりにならないときに、

「なぜこの仕事を担当してもらうのか」
「会社はあなたに何を期待しているのか」
「現在の仕事が将来のキャリアにどうつながるのか」

を説明することです。

資料では、希望する部署に配属できない場合でも、人員配置の方針や現在の部署の重要性、将来のキャリアプランを説明するとともに、本人の考えを聞く双方向のコミュニケーションが重要だとされています。

外国人社員だけの問題にしない

外国人社員が辞めたとき、

「外国人は定着しない」
「日本語が十分ではなかった」

だけで終わらせてしまうと、次に外国人を採用しても同じことが起こる可能性があります。

外国人雇用では、在留資格を取得し、採用できれば終わりではありません。

仕事内容、配置、評価、キャリア、コミュニケーション。

こうした一つひとつを丁寧に確認することが、外国人社員が安心して長く働ける職場づくりにつながります。

そしてそれは、外国人だけではなく、日本人社員にとっても働きやすい会社をつくることにつながるのではないでしょうか。

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