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外国人材の都市部への転職が増加――特定技能1号・2号の地域分布から考える、地方で働き続けてもらうための課題
2026年10月8日の時事通信の報道では、外食業の特定技能1号の新規受入れ停止後、国内に在留する特定技能外国人の採用競争が激しくなり、地方から都市部への転職が増えていると伝えられています。
紹介された民間調査では、停止後の求人数が2.8倍になったとされています。ただし、これは求人の増加を示す数字であり、転職者数が2.8倍になったという意味ではありません。本記事では、提供された報道の抜粋を入口に、出入国在留管理庁の令和8年6月末統計から地域ごとの分布を見ていきます。
新規受入れの制限と、外食業内での転職は扱いが違う
出入国在留管理庁は、外食業の特定技能1号の在留者数が受入れ上限に達する見込みとなったことから、令和8年4月13日以降に受理した在留資格認定証明書交付申請を不交付とする措置を開始しました。
同日以降に受理した外食業の特定技能1号への在留資格変更許可申請も原則不許可ですが、例外が設けられています。既に外食業の特定技能1号で在留する方の、同分野内の転職に伴う申請や在留期間更新は通常どおり審査する扱いです。国内にいる外国人なら誰でも新たに外食業の1号になれる、ということではありません。
この取扱いを踏まえると、既に外食業の1号で働いている人材の採用・定着が、企業にとって重要な課題になると考えられます。
【根拠】出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」(令和8年3月27日)及び令和8年4月13日付け交付停止措置のお知らせ。
都市部の例・大阪市では、1号も2号も外食業が最多
大阪市に住む特定技能1号の外国人は11,250人です。そのうち外食業は3,509人で、約31.2%を占めています。次いで介護2,880人、飲食料品製造業1,963人となっています。
2号は557人で、外食業193人、建設業188人、飲食料品製造業94人です。外食業は2号全体の約34.6%で、建設業をわずかに上回り最多となっています。
大阪市という都市部の一例では、特定技能1号・2号ともに外食業が人数の多い分野であることが分かります。ただし、この数字だけで地方から大阪市への転職者数や増加を確認することはできません。
地方の例では、農業の割合が高い地域もある
北海道と高知県の分野構成を見ると、大阪市とは異なる特徴があります。
| 地域 | 1号の総数 | 1号の農業人数・割合 | 2号の総数 | 2号の農業人数・割合 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 19,613人 | 5,180人・26.4% | 595人 | 296人・49.7% |
| 高知県 | 1,896人 | 857人・45.2% | 70人 | 44人・62.9% |
北海道も高知県も、2号で人数が最多の分野は農業です。
さらに市町村単位では、北海道音更町の1号125人のうち、農業は69人で約55.2%を占めます。一方、高知県仁淀川町の1号9人のうち7人は飲食料品製造業で、2号2人も飲食料品製造業です。
地方でも、農業に集中する地域と食品製造に集中する地域があります。「地方の特定技能」をひとまとめにせず、市町村ごとの分野構成を見ることが大切です。
【根拠】1号・2号の第5表。北海道01000、高知県39000、音更町01631、仁淀川町39387の各集計行。
住居地の分布と、都市部への転職は別の情報
今回の第5表は、勤務先の所在地ではなく、外国人本人の住居地による集計です。そのため、「大阪市の外食業の在留者」は、大阪市内の飲食店で働く人数と必ずしも一致しません。
また、令和8年6月末という一時点の統計であり、10月の報道で紹介された転職の動きを直接測定したものでもありません。都市部への流出を確認するには、過去との比較や、転職前後の勤務地などの情報が必要です。
北海道・高知県にも都市部があり、大阪市と府県全体では集計単位も異なります。本記事の事例は「都市部・地方」の全国的な分類や優劣を示すものではなく、地域によって分野構成が違うことを紹介するものです。
地方での定着を考えるには、仕事と暮らしの両方を見る
報道が扱っているのは外食業の転職です。農業や食品製造など、地方に在留者が多い他の分野でも同じ流出が起きていると、今回の資料から判断することはできません。
その上で当事務所としては、地域で働き続けてもらうためには、採用だけでなく、仕事と暮らしの両方を支える視点が必要と考えています。
例えば、賃金や勤務時間の説明、住居費や通勤手段、日常の買い物・通院、職場で相談できる相手などは、本人が働き続ける環境を考える上で確認したい点です。2号を目指す方については、試験に向けた学習や必要な経験を積める見通しも、本人と共有しておくことが大切です。
これらは、今回の統計で転職原因と確認された事項ではなく、受入れ企業が定着に向けて検討する項目としての当事務所の考察です。
地域の産業を支える人材として、長期的な関係を
今回の統計からは、都市部の大阪市では外食業、北海道・高知県では農業というように、地域によって在留者の分野構成が異なることが分かります。
都市部への転職というニュースを考える際も、単に外国人材の人数を確保するだけでなく、その地域でどのような仕事と生活の見通しを持てるかという視点が必要ではないでしょうか。
ハートフルサポート行政書士事務所では、特定技能の在留申請、転職に伴う手続き、特定技能2号への移行などのご相談を承っております。受入れや継続雇用についてお困りの企業様は、お気軽にご相談ください。
出所・根拠
- 時事通信、2026年10月8日8時03分配信の、外国人材の都市部への転職と外食業の採用競争に関する報道(Yahoo!ニュース掲載)。本記事の報道紹介は、提供された見出し・冒頭抜粋に基づきます。民間調査の調査期間・対象・方法は抜粋では確認できないため、一般化していません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/40a98607d7202ae08af0cf2a663ce502fc9bf8fb - 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」令和8年6月末現在、速報値。1号・2号の第5表「都道府県・市区町村別 特定産業分野別 特定技能在留外国人数」。住居地による集計であることは各表の注2に基づきます。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00215.html - 出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」令和8年3月27日。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/03_00001.html - 出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における在留資格認定証明書交付の一時停止措置について」令和8年4月13日。
https://www.moj.go.jp/isa/03_00176.html
割合は「該当分野の人数÷該当地域・在留資格の総人数×100」で当事務所が算出し、小数第1位に丸めています。制度説明は上記公式公表資料に基づき、個別申請時には最新の取扱いを確認する必要があります。

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