特定技能はベトナム人が最多。でも介護・外食・造船では違う顔ぶれに|2026年6月末統計

「特定技能で働く外国人は、ベトナムの方が多い」という印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

出入国在留管理庁の令和8年6月末現在の速報値でも、ベトナムは特定技能1号・2号ともに国籍別で最多となっています。

しかし、業界ごとに見ると、必ずしもベトナムが最多とは限りません。介護、外食、造船などでは、全体とは違う顔ぶれが見えてきます。今回は国籍別の人数から、各分野の特徴をご紹介します。

全体ではベトナムが最多。1号はインドネシア、ミャンマーが続く

令和8年6月末の特定技能1号在留外国人数は425,961人です。主な国籍別の人数は次のとおりです。

国籍特定技能1号の人数1号全体に占める割合
ベトナム163,154人38.3%
インドネシア107,242人25.2%
ミャンマー52,993人12.4%
フィリピン37,859人8.9%
中国22,200人5.2%
ネパール15,374人3.6%
カンボジア9,594人2.3%
タイ6,983人1.6%

ベトナム、インドネシア、ミャンマーの3か国を合わせると323,389人で、1号全体の約75.9%を占めます。

ただし、全体の順位だけでは、それぞれの業界の状況までは分かりません。

イタリアやフランス、マダガスカルも――詳細統計に見る意外な顔ぶれ

この先でも説明をしますが、特定技能と聞くと、ベトナムやインドネシアなど、アジアの国々を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、詳しい国籍別統計を見ると、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニアなどの国籍の方も、特定技能1号で在留していることが分かります。

令和8年6月末現在の人数と分野を見ると、次のような顔ぶれが確認できます。

国籍特定技能1号の人数主な分野と人数
イタリア44人外食業28人、宿泊8人
フランス40人外食業21人、宿泊7人
米国34人外食業16人
英国11人外食業6人
ドイツ10人外食業5人、宿泊3人
マダガスカル11人農業11人
セネガル6人介護5人、建設1人
フィジー6人航空5人、ビルクリーニング1人

イタリアとフランスでは、それぞれ半数以上が外食業に在留しています。ただし、統計には勤務先の料理の種類までは掲載されていないため、イタリア料理店やフランス料理店で働いているかどうかは分かりません。

また、マダガスカルの11人は全員が農業分野です。セネガルでは6人中5人が介護、フィジーでは6人中5人が航空分野となっています。人数は少ないものの、国籍ごとに異なる分野構成が見られる点は興味深いところです。

今回の資料だけでは、これらの国籍の方が新たに受け入れられたのか、以前から在留していたのかは判断できません。それでも、主要国籍の一覧から一歩踏み込んで見ることで、特定技能で働く方々の多様な顔ぶれが見えてきます。

ベトナムは食品製造・工業製品製造・建設で人数が多い

ここからは、多数の国籍の話に戻りますが

ベトナムの1号では、飲食料品製造業が57,442人、工業製品製造業が34,776人、建設が29,287人です。

この3分野だけで121,505人となり、ベトナムの1号全体の約74.5%を占めています。全体で最多という数字の中でも、特に食品製造、工業製品製造、建設に人数が集中していることが分かります。

【根拠】特定技能1号・第1表のベトナム行、飲食料品製造業・工業製品製造業・建設の各欄。

介護ではインドネシアとミャンマーが多い

特定技能1号の介護分野は、全体で79,884人です。国籍別では、インドネシア26,433人、ミャンマー24,313人、ベトナム9,928人となっています。

インドネシアとミャンマーを合わせると50,746人で、介護分野全体の約63.5%です。特定技能全体ではベトナムが最多ですが、介護ではインドネシアとミャンマーの人数が多いという違いがあります。

ネパールも7,410人で、ネパールの1号15,374人のうち約48.2%が介護分野に在留しています。

同じ数字でも、「介護分野の中で各国籍が何%か」と「その国籍の方のうち何%が介護で働いているか」は意味が異なります。両方を見ることで、人数構成をより具体的に理解できます。

外食業ではミャンマーが最多

外食業の特定技能1号は49,060人です。このうちミャンマーが17,489人、ベトナムが14,031人となっています。

ミャンマーは外食業全体の約35.6%を占め、国籍別で最多です。ネパールも4,868人で、ネパールの1号全体の約31.7%が外食業に在留しています。

ミャンマーでは介護と外食業を合わせて約78.9%、ネパールでは約79.9%となっています。この2か国は、1号の人数構成を見ると、介護と外食業への集中が見られます。

造船ではフィリピン、漁業ではインドネシアが中心

造船・舶用工業分野の特定技能1号は11,641人で、そのうちフィリピンが6,254人です。分野全体の約53.7%を占めています。

一方、漁業分野は4,912人で、そのうちインドネシアが4,230人。分野全体の約86.1%に当たります。

全体の国籍別順位ではフィリピンは4位、インドネシアは2位ですが、造船と漁業に絞ると、それぞれが最多となっています。業界別に見ることで、全体の順位からは見えない特徴が分かります。

中国・カンボジア・タイにも、分野ごとの特徴がある

中国の特定技能1号は、飲食料品製造業5,619人、工業製品製造業4,585人が上位です。外食業2,950人、農業2,789人、建設2,558人と、複数の分野にも人数が分散しています。

カンボジアでは農業が4,017人で、自国の1号全体の約41.9%を占めます。続いて建設2,018人、飲食料品製造業1,926人となっています。

タイでは工業製品製造業2,250人、飲食料品製造業1,900人、農業1,243人が上位です。

「どの国籍が多いか」に加えて、「その国籍の方がどの分野に多く在留しているか」を見ると、特定技能の現状をより細かく捉えることができます。

特定技能2号でも、分野ごとに顔ぶれが違う

特定技能2号は全体で18,295人です。そのうちベトナムは13,761人で、約75.2%を占めています。

特に建設では、分野全体5,329人のうちベトナムが4,776人で、約89.6%です。

一方、2号の造船・舶用工業では、フィリピンが323人で、分野全体644人の約50.2%を占めています。2号でも、造船ではフィリピンが最多です。

さらに、各国籍の2号の人数構成を見ると、次の特徴があります。

国籍特定技能2号の総数その国籍の2号で最多の分野自国籍の2号総数に占める割合
インドネシア1,125人農業384人34.1%
ミャンマー448人飲食料品製造業213人47.5%
ネパール272人外食業160人58.8%
カンボジア222人農業187人84.2%

この表の割合は「各分野全体に占める割合」ではなく、「その国籍の2号総数に占める割合」です。

なお、1号と2号では対象となる分野が異なります。2号の第1表には、2号の受入れが可能な分野のみが掲載されているため、両者の分野構成を比較する際には注意が必要です。

受入れを考えるときは、業界の数字と本人の条件を確認

今回の統計では、特定技能全体でベトナムが最多である一方、介護ではインドネシア、外食業ではミャンマー、造船・舶用工業ではフィリピン、漁業ではインドネシアが最多であることが確認できます。

当事務所としては、受入れを検討する際に、全体の順位だけでなく、自社の業界や地域に即して統計を確認することが参考になると考えています。

ただし、人数の多さは、採用のしやすさや試験の合格しやすさを示すものではありません。増減の理由や技能実習からの移行状況などを知るには、過去の統計や別の資料も必要です。実際の受入れでは、本人の技能、日本語能力、経歴、従事する業務などを個別に確認することが大切です。

ハートフルサポート行政書士事務所では、特定技能の在留申請や受入れに関するご相談を承っております。受入れを検討されている企業様、在留資格についてお困りの外国人の方は、お気軽にご相談ください。


出所・集計時点・計算方法

出所:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」の掲載資料。

  • 「主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数」第1表
  • 「主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能2号在留外国人数」第1表

公式掲載ページ:出入国在留管理庁・特定技能在留外国人数

集計時点:令和8年(2026年)6月末現在。数値は速報値です。

人数は提供された公式公表資料に基づきます。割合は各箇所で示した対象の総数を分母として「該当人数÷対象の総数×100」で当事務所が算出し、小数第1位に丸めています。複数分野・国籍の合計も当事務所で算出しました。本記事は同時点の人数構成を紹介するものであり、過去との増減や1号から2号への移行率を示すものではありません。

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