特定技能1号は最長6年まで在留できる?試験不合格者の特例と対象分野を解説

特定技能1号の在留期間は、原則として通算5年までです。

しかし、特定技能2号への移行に必要な試験に不合格となった場合でも、合格基準点の8割以上を取得するなど一定の要件を満たした人については、特定技能1号として最長1年間、在留を継続できる特例があります。

この特例により、通常は通算5年までである特定技能1号の在留期間が、最長6年まで認められる可能性があります。

また、特定技能2号が設けられていない介護分野についても、介護福祉士国家試験の結果など一定の要件を満たした場合に、最長1年間の在留期間延長が認められる制度が設けられています。

この記事では、6年目の在留が認められる可能性がある分野、対象となる試験、必要な点数、本人と受入れ企業に求められる条件について解説します。

特定技能1号の在留期間は原則として通算5年

在留資格「特定技能1号」で在留できる期間は、原則として通算5年以内です。

在留カードに記載されている一回ごとの在留期間ではなく、特定技能1号として在留した期間を合計して判断します。

そのため、特定技能1号として通算5年に達するまでに、原則として次のいずれかの対応が必要です。

  • 特定技能2号へ移行する
  • 他の在留資格へ変更する
  • 帰国する

ただし、特定技能2号への移行を目指して試験を受験したものの、合格まであと少しだった外国人については、一定の要件を満たす場合に限り、特定技能1号の通算在留期間を最長1年間延長できる取扱いがあります。

出入国在留管理庁は、この取扱いについて「特定技能2号評価試験等に不合格となった1号特定技能外国人」の通算在留期間に関する特例として案内しています。

【根拠】
出入国在留管理庁「通算在留期間」
https://www.moj.go.jp/isa/10_00233.html

どの分野が対象になりますか?

特定技能2号が設けられている11分野では、2号への移行に必要な試験に不合格となった人について、一定の要件を満たせば、特定技能1号の通算在留期間を最長1年間延長できる可能性があります。

対象となる分野と主な試験は、次のとおりです。

分野主な対象試験
ビルクリーニングビルクリーニング分野特定技能2号評価試験など
工業製品製造業製造分野特定技能2号評価試験、ビジネス・キャリア検定3級など
建設建設分野特定技能2号評価試験
造船・舶用工業造船・舶用工業分野特定技能2号試験
自動車整備自動車整備分野特定技能2号評価試験
航空航空分野特定技能2号評価試験
宿泊宿泊分野特定技能2号評価試験
農業2号農業技能測定試験
漁業漁業技能測定試験2号
飲食料品製造業飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験
外食業外食業特定技能2号技能測定試験

これに、別の仕組みが設けられている介護分野を加えると、6年目の在留を検討できる分野は合計12分野となります。

ただし、分野に該当するだけで延長が認められるわけではありません。

実際に受験した試験が特例の対象となっているか、取得した点数を所定の結果通知書によって証明できるかなどを、個別に確認する必要があります。

必要な点数は「合格基準点の8割以上」

特定技能2号の対象分野では、原則として、不合格となった特定技能2号評価試験等において「合格基準点の8割以上」の得点を取得していることが必要です。

ここでいう「8割以上」は、試験問題全体の80%以上という意味ではありません。

その試験に定められている「合格基準点の80%以上」という意味です。

例えば、合格基準が60点の試験であれば、次のように計算します。

60点×80%=48点

この場合、点数面では48点以上が目安となります。

ただし、試験によっては学科試験と実技試験が分かれている場合や、複数の試験への合格が特定技能2号への移行要件になっている場合があります。

そのため、単純に総得点だけを見るのではなく、それぞれの試験の合格基準と結果通知書の内容を確認する必要があります。

6年目は自動的に認められるものではありません

合格基準点の8割以上を取得していても、自動的に特定技能1号の在留期間が1年間延長されるわけではありません。

在留期間更新許可申請を行い、地方出入国在留管理局から許可を受ける必要があります。

また、特定技能1号の通算在留期間である5年を超えて在留することについて「相当の理由がある」と認められなければなりません。

点数以外にも、外国人本人と受入れ企業について、それぞれ一定の要件があります。

外国人本人に求められる主な要件

外国人本人には、主に次のような対応が求められます。

  • 対象となる特定技能2号評価試験等を受験していること
  • 不合格となった試験で、合格基準点の8割以上を取得していること
  • 延長期間中も、試験合格に向けて勉強を続けること
  • 延長期間中に、対象となる試験を再度受験すること
  • 試験に合格した場合は、速やかに特定技能2号への在留資格変更許可申請を行うこと
  • 延長期間中に合格できなかった場合は、速やかに帰国すること

これらの事項について、外国人本人が誓約する必要があります。

この特例は、単に日本で働く期間を1年間長くするための制度ではありません。

特定技能2号への移行を目指して努力している外国人に対し、もう一度試験を受ける機会を確保するための例外的な取扱いです。

受入れ企業に求められる主な要件

受入れ企業にも、主に次の条件が求められます。

  • 対象となる外国人を引き続き雇用する意思があること
  • 特定技能2号評価試験等の合格に向けて、指導、研修、学習支援などを行う体制があること

受入れ企業は、外国人を引き続き雇用するだけではなく、試験合格に向けて具体的な支援を行う必要があります。

例えば、次のような取組が考えられます。

  • 試験勉強の時間を確保する
  • 教材や過去問題を準備する
  • 社内で実技指導を行う
  • 管理者や指導者による研修を実施する
  • 次回の試験日程や申込期限を管理する
  • 受験料や交通費の負担について検討する

在留期間更新許可申請では、企業がどのような支援を行う予定であるかを、具体的に説明できるようにしておくことが大切です。

結果通知書で点数を証明する必要があります

この特例を利用するためには、合格基準点の8割以上を取得していることを証明できる結果通知書などが必要です。

ただし、受験した時期や試験の種類によっては、通常の結果通知書に得点が記載されていないことがあります。

点数を確認できない結果通知書では、特例の対象にならない場合があります。

そのため、実際の申請では、次の事項を確認する必要があります。

  • 受験した試験の正式名称
  • 試験区分
  • 受験日
  • 合格基準点
  • 本人の取得点数
  • 結果通知書の発行日
  • 入管が指定する様式の結果通知書か
  • 古い試験結果について再発行が必要か

出入国在留管理庁の「通算在留期間」のページには、分野及び試験ごとに、使用できる結果通知書のサンプルや対象となる受験日・発行日が掲載されています。

申請前には、必ず最新の案内を確認する必要があります。

【根拠】
出入国在留管理庁「通算在留期間」
https://www.moj.go.jp/isa/10_00233.html

分野ごとに対象となる試験が異なります

同じ特定技能2号の対象分野であっても、すべての試験が6年目の特例に使えるとは限りません。

例えば、次のような注意点があります。

  • 一部の技能検定については、結果通知書の取扱いが検討中の場合がある
  • 航空分野では、業務区分によって対象となる試験が異なる
  • 古い試験結果については、点数が確認できる結果通知書の再発行が必要になる場合がある
  • 入管が指定する日より前に受験又は発行された結果通知書は、対象外となる場合がある
  • 一つの分野で複数の試験が必要な場合は、それぞれの合否や点数を確認する必要がある

したがって、「特定技能2号の試験で8割近く取った」という本人からの説明だけで判断することはできません。

試験結果通知書の原本又は写しを確認し、入管が公表している対象試験及び結果通知書の条件と照合することが重要です。

工業製品製造業分野の場合

工業製品製造業分野で、試験ルートにより特定技能2号へ移行するためには、原則として次の要件があります。

  • 製造分野特定技能2号評価試験に合格すること
  • ビジネス・キャリア検定3級の対象区分に合格すること
  • 日本国内に拠点を持つ企業の製造現場において、3年以上の実務経験があること

製造分野特定技能2号評価試験の対象区分は、次の3区分です。

  • 機械金属加工区分
  • 電気電子機器組立て区分
  • 金属表面処理区分

ビジネス・キャリア検定3級については、次のいずれかが対象です。

  • 生産管理プランニング
  • 生産管理オペレーション

工業製品製造業分野では、製造分野特定技能2号評価試験だけでなく、ビジネス・キャリア検定3級の受験状況、合否及び点数も確認する必要があります。

【根拠】

一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)
「製造分野特定技能2号評価試験 試験概要」
https://www.jaim-skill.or.jp/exam/about-ssw2/

一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)
「製造分野特定技能2号評価試験の結果通知書について」
https://www.jaim-skill.or.jp/exam/about-ssw2/results-notification/

中央職業能力開発協会
「ビジネス・キャリア検定―特定技能2号の在留資格取得のための受験について」
https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/business/ssw2.html

介護分野は特定技能2号とは別の仕組みです

介護分野には、在留資格「特定技能2号」がありません。

介護分野で長期的に介護業務へ従事するためには、介護福祉士国家試験に合格し、在留資格「介護」へ変更することが基本となります。

そこで、特定技能1号の通算在留期間が5年に達する直前に介護福祉士国家試験を受験したものの、合格まであと少しだった人について、最長1年間の在留期間延長を認める仕組みが設けられています。

介護分野では、原則として次のような条件が必要です。

  • 特定技能1号の通算在留期間が5年に達する直前の介護福祉士国家試験を受験していること
  • 国家試験の全パートを受験していること
  • 1パート以上に合格していること
  • 総得点が、介護福祉士国家試験の合格基準点の8割以上であること
  • 延長期間中に再度、介護福祉士国家試験を受験すること
  • 受入れ施設に継続雇用の意思や国家試験合格に向けた支援体制があること
  • その他の所定の要件を満たすこと

介護分野では、厚生労働省社会・援護局長が発行する「パート合格(合格パートの受験免除)に係る結果通知書」などによって、延長条件を満たしていることを確認します。

【根拠】

厚生労働省
「介護福祉士国家試験のパート合格(合格パートの受験免除)と特定技能外国人の在留期間延長について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/kaigo.tokuteiginou.extension

出入国在留管理庁「通算在留期間」
https://www.moj.go.jp/isa/10_00233.html

「最長1年間」であり、必ず在留期間1年が付与されるわけではありません

この特例は、特定技能1号の通算在留期間を「最長1年間」延長できる取扱いです。

したがって、要件を満たして申請すれば、必ず在留期間「1年」が付与されるという意味ではありません。

本人の在留状況、雇用契約期間、試験の実施時期、次回の受験予定などを踏まえて、個別に審査されます。

また、通算6年を超えて、特定技能1号としてさらに在留できる制度ではありません。

延長期間中に試験に合格した場合は、速やかに特定技能2号又は在留資格「介護」などへの変更申請を行う必要があります。

合格できなかった場合は、原則として延長期間の終了までに帰国の準備を進めることになります。

申請の前に確認しておきたいこと

特定技能1号の通算在留期間が5年に近づいている場合は、次の事項を早めに確認しましょう。

外国人本人について

  • 特定技能1号としての正確な通算在留期間
  • これまでの出入国歴
  • 受験した試験の名称と試験区分
  • 試験日
  • 試験の合否
  • 取得点数
  • 結果通知書の内容
  • 次回の受験予定
  • 特定技能2号に必要な実務経験を満たしているか

受入れ企業について

  • 本人を引き続き雇用する意思があるか
  • 延長期間中の雇用契約をどのようにするか
  • 試験合格に向けてどのような支援を行うか
  • 指導・研修を担当する人がいるか
  • 学習時間や教材を確保できるか
  • 次回の試験申込期限を管理できているか

試験日程や結果通知書の発行には時間がかかる場合があります。

通算5年の満了直前ではなく、できるだけ早い段階から準備を始めることが大切です。

まとめ

特定技能1号の在留期間は、原則として通算5年までです。

ただし、特定技能2号への移行に必要な試験に不合格となった人のうち、合格基準点の8割以上を取得し、本人と受入れ企業がその他の要件を満たしている場合は、特定技能1号として最長1年間、在留を継続できる可能性があります。

対象となるのは、特定技能2号が設けられている次の11分野です。

  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

また、介護分野についても、介護福祉士国家試験で1パート以上に合格し、総得点が合格基準点の8割以上であるなど、一定の要件を満たせば、最長1年間の在留期間延長が認められる可能性があります。

ただし、6年目の在留は自動的に認められるものではありません。

試験の点数だけでなく、所定の結果通知書、本人の再受験の意思、受入れ企業の継続雇用の意思と支援体制、5年を超えて在留する相当の理由などを示したうえで、在留期間更新許可申請を行う必要があります。

実際の申請では、分野、試験名、受験日及び結果通知書の様式によって取扱いが異なります。必ず出入国在留管理庁が公表している最新の情報を確認しましょう。

※本記事は2026年9月2日現在の公表情報をもとに作成しています。対象試験、必要書類及び結果通知書の取扱いは変更される場合があります。

根拠・参考資料

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